いま、どこで止まっていますか
取引先の印刷会社・デザイン会社が営業を止めた場合、止まっている内容は会社によって異なります。次の切り替え先を探す前に、まず「何が」「どこに」あるのかを仕分けることから始めます。確認すべき対象は、大きく分けて4つです。
- デザインデータ(Illustrator等の版下・入稿データ)が手元にあるか
- 製品の形に打ち抜くための抜型(刃型)が、どこで管理されていたか
- 在庫・仕掛品、支給していた材料が残っているか
- 色を合わせるための基準(色見本・初回校正紙)が手元にあるか
以下、それぞれについて確認の進め方を解説します。
最優先はデザインデータ(Illustrator)の確保
4つの中で最初に確認すべきは、デザインデータです。版下・入稿データが手元にあるかどうかで、その後の進め方が大きく変わります。データがあれば、新しい発注先はそこから印刷用のデータを組み直すだけで再開できますが、データがない場合はデザインを一から作り直す必要が生じ、時間もコストもかかります。
ここで注意が必要なのは、データの権利の扱いです。契約に著作権の譲渡条項がなければ、デザインデータの権利は原則として制作を行った側(倒産・廃業した取引先)に留保されます。発注元だからといって当然にデータを自由に使えるとは限りません。倒産・廃業した相手先とのやり取りが必要になる場面のため、権利関係の確認や交渉が必要な場合は、弁護士等の専門家にご相談ください。
刃型は引き取っても使えません
デザインデータの次に確認が必要なのが、抜型(刃型)です。ここが最も誤解されやすい部分のため、丁寧に説明します。
刃型は、印刷機や打ち抜き機ごとに寸法や取り付け規格が異なります。そのため、倒産した取引先で使われていた刃型を、そのまま新しい発注先の機械に載せることは、通常できません。「刃型さえ引き取れば、すぐに同じものを作ってもらえる」というわけではない点に注意が必要です。
つまり、切り替えに必要なのは「刃型の現物を運ぶ」ことではなく、図面またはデザインデータから、新しい発注先で刃型を新規に起こすことです。図面が残っていれば刃型の再製作はスムーズに進みますが、図面がなくデザインデータのみの場合も、そこから型を起こすことは可能です。いずれにしても、まず必要になるのは前項のデザインデータです。
※刃型そのものの返還請求が必要になる場合もありますが、それは資産・契約に関する法務の問題であり、当社が代行できるものではありません。必要に応じて弁護士等の専門家にご相談ください。
在庫・仕掛品と支給材料の確認
ラベルの在庫や、印刷途中の仕掛品が取引先に残っている場合があります。また、こちらから特定の原反やインキ等を支給していた場合、その材料が残っているかどうかも確認が必要です。在庫・仕掛品・支給材料は倒産手続きにおける資産として扱われることがあるため、引き取りの可否は取引先の状況(自己破産・清算等の手続きの段階)によって異なります。窓口が管財人等に移っている場合は、そちらへの確認が必要です。
色基準をどう引き継ぐか
シール・ラベルの色は、モニターやデータ上の数値だけでは完全には再現できません。過去に発注していた製品の現物(実際に貼付されているラベル)や、発注時の初回校正紙が手元にあれば、新しい発注先はそれを基準に色を合わせることができます。現物や校正紙が全く残っていない場合は、色の再現に時間がかかることがあるため、少しでも古い在庫品や梱包材が残っていれば、廃棄せずに保管しておくことをおすすめします。
距離は問題になりにくい
新しい発注先を探す際、「近くの印刷会社でないと難しいのではないか」と考える方もいますが、シール・ラベルは1件あたりの荷姿が小さく軽いため、輸送費に占める距離の影響は比較的小さいとされます。ウメモトは大阪・名古屋・奈良・東京の拠点から、九州・北海道・離島を含む全国へ出荷しており、拠点から距離のある企業様からのご発注にも対応しています。データのやり取りや打ち合わせもオンラインで進められるため、地理的な近さを切り替え先の条件にする必要はありません。
切り替えの進め方と、ご相談時にご準備いただきたいもの
発注を止めないためには、ここまでの確認を進めながら、並行して次の発注先に相談を始めることをおすすめします。ご相談の際に、以下のものをお手元にご準備いただけますとスムーズです。
- デザインデータ(Illustrator等)。ない場合はその旨をお伝えください
- 刃型の図面(ある場合)。ない場合は現物サンプルの実測から起こすことも可能です
- 過去に印刷していた現物サンプルまたは校正紙(色基準の確認用)
- おおよその使用数量・発注頻度
これらが揃っていない状態でも、ご相談自体は可能です。何が不足しているかを一緒に整理するところから承ります。